未だに知らない

本や漫画、映画の記録帳です。

吾輩の部屋である

一人暮らしをしていると、なんやかんやと面白いことがあります。
誰に言うでもない、面白い出来事。
それが詰まった漫画です。

本作の主人公「鍵山哲郎」は工学部の大学院生で、彼も東京で一人暮らしをしています。
彼が部屋で繰り広げるなんやかんやが描かれる、それだけの漫画です。
メールや電話で友人や先輩、家族、そして憧れの君「植村さん」も出てきますが、絵としてはいちども描かれません。
だいぶずれた哲郎の発言や行動に突っ込みを入れるのは電球や酒瓶、炊飯器などの部屋に置かれたものたちという(笑)
しかし最高に面白い!
久しぶりに当たりの漫画を読んだな〜と満足しました。

この漫画は、部屋の中の哲郎の視点しか描かれません。
それって、客観視しようがないんですよね、読者としても。
哲郎にとっての「吉田」「植村さん」「教授」…。
普通の物語はいろんな登場人物が出てきて、それぞれの立場の考え方や感じ方が描かれて、読者はいろんな想像ができるけど、本作にはそれがない。
自分が感じたことだけが全て。
我々の人生と一緒ですね。

一番笑ったのは、3巻に収録されている「ぬいぐるみ高機能化構想」です。
植村さんの誕生日のプレゼントを考える哲郎の迷走ぶりに、声を出して笑ってしまいました。
カエル…(笑)

早く続きが読みたいなあ〜。

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これでこいつは体内に8ギガバイトのデータを保有できる生物に進化したわけだ。(3巻P88)

吾輩の部屋である 1 (ゲッサン少年サンデーコミックス)